3.下肢静脈瘤の診断について
診察前の準備が、正確な診断や適切な治療につながる。
足に症状があって不安な方や、下肢静脈瘤について相談や診察を受けたい場合は、専門医の診察を受けましょう。受診の前に、以下のような点をメモしておくと、医師も現在の状態を的確に把握でき、正確な診断と適切な治療を行うことができます。
1.足の症状について |
□足のどの部分に、どのような症状がいつ頃からあったのか?
□症状を感じる期間や時間帯(朝、夜、一日中など)
□右足・左足・両足か? |
2.下肢静脈瘤以外の病気について |
□今までにかかった病気の名前や治療内容、いつ頃か?
□現在治療中の病気の名前と服用中の薬
□お薬手帳があれば持参する |
3.アレルギーについて |
□食べ物や薬、注射でのアレルギー反応を起こしたことがあるか?
□喘息と言われたことがあるか? |
診察してもらえるのは、どの病院、どの診療科?
下肢静脈瘤を診療するのは、主に血管外科です。しかし、血管外科は日本ではまだあまり多くなく、ほとんどの病院では心臓血管外科が血管外科の病気を診療しています。病院によっては一般外科・皮膚科・形成外科などでも診療を行っているところがあります。また、最近では下肢静脈瘤を専門に扱うクリニックも増えています。
どこの病院にかかったらよいかは、知り合いの方やお医者さんの紹介、インターネットの情報などを参考にされるとよいでしょう。
診察から診断までの主な流れ。
初めて診察を受ける場合は、下のような流れで下肢静脈瘤であるのか、どのような状態なのかを確認します。
問診票に記入された内容をもとに、症状のほかに仕事の内容や生活習慣をお聞きして、足の症状が下肢静脈瘤によって起こっているのか、他の病気によるものではないのか、などを見極めます。
医師が患部を見て、下肢静脈瘤の場所や膨らみ具合、むくみや皮膚の変色がないかを確認します。
医師が実際に足を触って、むくみの有無や皮膚表面の状態、皮膚の暑さや硬さ、押して痛みがあるか、などを調べます。
●外から見ただけではわからない足の静脈の状態を確認するために検査をします。
●昔は、「静脈造影検査」といって、足の甲から造影剤を注射するレントゲン検査が行われていましたが、現在ではほとんど行われなくなりました。
●今は、「エコー(超音波)検査」という、お腹の中の赤ちゃんの検査をするときに行われるものと同じ検査方法が主流になっています。
●エコー検査は、ゼリーを塗った皮膚の上から機械を当てるだけで血液の流れ(静脈の逆流)を検査することができます。
●エコー検査の結果によってさらに静脈造影検査やCTなどの検査を追加して使用することもあります。
最適な治療法を、医師とじっくり話し合って決定。
下肢静脈瘤は進行性の疾患ですので、自然に治るということはありません。とは言え、進行は非常にゆっくりですし、悪性の病気でもありません。
ただし、下肢静脈瘤の状態や患者さんの年齢・生活習慣によっては早めに治療やケアを開始することが必要な場合もあります。医師は患者さんに診断結果を説明して、患者さん自身の希望や普段の生活への影響なども考慮し、いろいろな治療方法の中で最適な方法を患者さんと相談をしながら決めていくことになります。
より早い段階で受診することで治療方法の選択肢も多く、治療による精神的および経済的な負担も少なくなります。まずは早めに専門医から受診して、現在のご自分の状態を正確に把握して、健やかで快適な暮らしを送れるようにしましょう。
納得してから手術を受けましょう(日本静脈学会パンフレットのリンクは
こちら)